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しらやま地区の自然と生きもの図鑑

このしらやま地区には、コウノトリやアベサンショウウオ、ホタルなど多くの希少な生きものが生息しています。自然再生の取り組みとともに、生態や特徴をわかりやすく紹介します。
はじめに|白山地区は「生きものが暮らせる里」
しらやま地区は、豊かな湧水と里山、田んぼが広がる自然環境に恵まれた地域です。
この環境は、人の暮らしを支えるだけでなく、多くの野生生物の命を育む場にもなっています。
しらやま地区に生息する代表的な生きもの
- コウノトリ
- アベサンショウウオ
- キタノメダカ
- ハッチョウトンボ
- ゲンジボタル
- ヘイケボタル
本記事では、しらやま地区で確認されている代表的な生きものたちの特徴と
それを守る地域の自然再生活動について紹介します。
コウノトリ|白山地区の自然再生の象徴

翼を広げると約2mにもなるコウノトリは、水田や湿地、河川など水辺を好む大型の鳥です。
肉食で昆虫や魚など多様な生きものを食べるため、その生息には豊かな生態系が必要になります。日本では1971年に野生としては一度絶滅しましたが、人工繁殖と放鳥によって個体数は回復。2025年現在、国内には約500羽の野生個体が生息しています。
しらやま地区では、1970年に負傷したコウノトリを保護したことをきっかけに、自然再生活動が本格化しました。現在は安養寺町・中野町の人工巣塔で繁殖が確認されており、人とコウノトリが共に生きる里づくりが進められています。
コウノトリ帰還ストーリーはコチラ

アベサンショウウオ|里山の湿地に生きる希少種

アベサンショウウオは石川県から兵庫県の日本海側に分布する、体長10cmほどの小型の両生類です。成体は低地にある湿った森の中で昆虫やミミズを食べ暮らしています。
繁殖期は12月から1月。落ち葉や泥の積もった湿地や流れの少ない水路に産卵し、2月ごろから幼生が孵化します。幼生は7月頃まで水中で生活し、その後上陸します。環境省の絶滅のおそれのある野生生物として、種の保存法によって国内希少野生動植物種に指定されており、捕獲や飼育、生息地の破壊が禁止されています。
しらやま地区と隣の坂口地区を含む地域は、盆地で湧水が豊富なため産卵に適した湿地環境が多く、分布域内で最大の生息地となっています。20年以上前から地域住民が主体となり、湿地整備や生息数のモニタリングなどの保全活動が続けられています。
キタノメダカ|田んぼと水路に生きる小さな魚

キタノメダカは、体長4cm程の湿地や池、流れの緩やかな水路に生息する小型の淡水魚です。
かつては身近な存在でしたが、環境悪化により全国的に数を減らしています。環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)に分類されています。
2012年頃の研究により、日本のメダカはキタノメダカとミナミメダカの2種に分類されました。しらやま地区に生息するのはキタノメダカです。地区内では、ビオトープや小さな溜池などで確認されています。
ハッチョウトンボ|世界最小級のトンボ

体長約1.5cm、1円玉ほどの大きさのハッチョウトンボは、世界でも最も小さいトンボのひとつです。
浅い水深で草丈の低い湿地や休耕田に生息し、環境の変化に非常に敏感な生きものです。
ハッチョウトンボは、生息地の環境が変わるとすぐに姿を消してしまうため、生息数が減少している地域も多く、各地で保護活動が行われています。しらやま地区では、管理の行き届いた一部のビオトープや休耕田で見ることができます。
ゲンジボタル|夏の夜を彩る光

ゲンジボタルは、体長1.5〜2cmほどの甲虫の仲間で、本州、四国、九州に分布する日本の固有種です。幼虫は水の中で生活し、河川や水路など流れのあるきれいな水辺を好みます。
成虫は5月下旬から6月下旬にかけて姿を現します。
日中は川岸の草や木の葉の裏で静かに休み、日が沈むと活動を始めます。夜になると、ゆっくりとした間隔で明滅しながら、河川や水路の周辺を舞うように飛び交います。
ゲンジボタルは、東日本と西日本で発光する間隔が異なります。しらやま地区に生息するゲンジボタルは、西日本型の2秒間隔で光るタイプです。
成虫の発生時期には、地区内の河川や水路のほぼ全域で、ゆっくりと明滅しながら飛び交う姿を見ることができます。この光景は、しらやま地区の水辺環境が今も豊かに保たれていることを示しています。
ヘイケボタル|田んぼに舞う姿は幻想的

ヘイケボタルは、体長約1cmほどの甲虫の仲間です。
幼虫は水中で生活し、水田や湿地、流れの緩やかな水路などの環境を好みます。
姿はゲンジボタルによく似ていますが、体はより小さく、胸のピンク色の部分にある黒い模様や発光の仕方に違いがあります。成虫は6月から7月上旬にかけて現れ、日没後、水田の畔やその周辺を光りながら飛び交います。約0.5秒という短い間隔で明滅を繰り返しますが、光はゲンジボタルよりも弱く、発光のパターンも不規則です。
ヘイケボタルは、幼虫が水の流れの少ない環境を好むことから、水田と深い関わりをもつ生きものです。農薬や化学肥料をできるだけ減らし、環境に配慮した栽培が行われている田んぼでは、特に多く見られます。
しらやま地区では、こうした田んぼをはじめ、水路やビオトープなど、地域の身近な水辺でヘイケボタルが普通に見られます。
アメリカザリガニ|生態系への影響が大きい外来種

アメリカザリガニは、エビやカニの仲間で、成長すると全長15cmほどになります。
アメリカ大陸原産の外来生物で、人の手によって日本に持ち込まれました。
幼い頃は茶色の地味な色をしていますが、成長するにつれて赤くなっていきます。
水田や湿地、用水路、溜池、河川など、流れの緩やかな水辺を好み、水質の悪化にも強いため、さまざまな水辺環境に適応し、日本全国に分を拡大し定着しています。生態系への影響が大きいことから、環境省の条件付特定外来生物に指定されており、地区内で駆除活動を進めています。
しらやま地区の水田や水路で見かける小さなザリガニは、すべてアメリカザリガニです。日本在来のニホンザリガニは、東北から北海道の水質の良い山奥の渓流に生息しており、しらやま地区には分布していません。しらやま地区では、アメリカザリガニの侵入が広い範囲で確認されており、アベサンショウウオをはじめとする希少な生きものを食べてしまう恐れがあります。そのため、地域では生態系を守るための駆除活動が進められています。
おわりに|生きものと共に未来へ
白山地区の自然は、長年にわたる地域住民の手によって守られてきました。
田んぼや水路、里山を大切にすることは、人の暮らしだけでなく、コウノトリやホタルなど多くの命を未来につなぐことでもあります。
この豊かな自然環境が、次の世代へ受け継がれていくことを願っています。

