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しらやまに舞い降りた、幸せのシンボル。一羽のコウノトリ「コウちゃん」の物語

目次

昭和の記憶:電柱に巣を作った二羽

かつて、日本の空からコウノトリの姿が消えようとしていた昭和30年(1955年)。福井県武生市(たけふし・現在の越前市)の平野部に、2羽のコウノトリが舞い降りました。

彼らが選んだ住まいは、なんと水田に立つ「電柱」の上。

以後数年にわたり、地域の人々に見守られながら卵を産み、懸命に育てようとしましたが、残念ながらヒナが孵ることはありませんでした。

そして昭和38年(1963年)に1羽が姿を消し、翌昭和39年には残る1羽も静かに姿を消しました。

傷ついたコウノトリ「コウちゃん」との出会い

それから数年後の昭和45年(1970年)。今度は山あいにあるしらやま地区・黒川町に、1羽のコウノトリが飛来します。

しかし、そのくちばしは折れ、満足にエサを捕ることができないほど衰弱していました。

「放っておけない」

しらやまの人々や小学生たちが立ち上がり、ドジョウなどのエサを集めて懸命に世話をしました。親しみを込めて「コウちゃん」と呼ばれたその鳥は、翌年、さらなる治療と保護のために兵庫県豊岡市の人工飼育施設へと送られました。

豊岡で「武生(たけふ)」と名付けられたコウちゃんは、その後34年もの年月、大切に飼育され、1羽の子供と4羽の孫を残しました。

この出来事は、しらやまの人々に「いつかまたコウノトリを迎えたい」という気持ちを残しました。

「おかえり」と言える里山を目指して

「いつかまた、コウノトリが安心して暮らせる里山にしたい」

そんな願いから、しらやまの人々は立ち上がりました。

農薬を減らし、冬の間も田んぼに水を張るなどの活動を広げ、エサとなる生き物たちが育つ環境を整えてきました。

そして平成22年(2010年)、ついにその日が訪れます。

豊岡市から放鳥されたコウノトリが、再びしらやまの空に舞い戻ってきたのです。

その後、しらやまでは野外での繁殖が確認され、令和元年(2019年)には、福井県内で55年ぶりとなる野外でのヒナが誕生しました。

その後も連続してヒナが巣立ち、コウノトリは再びしらやまの地に根づいています。

昭和に始まったしらやまとコウノトリの物語は、今も現在進行形で続いています。

コウノトリPR館で、物語をたどる

野外コウノトリの帰還や、当時の貴重な写真、そして現在のコウノトリの生態についてもっと詳しく知ることができるのが、「越前市しらやま コウノトリPR館」です。

館内では、コウノトリを見守ってきた地域の人々の想いや、自然再生への歩みを詳しく展示しています。

また、しらやまにはコウノトリが巣を作り、産卵・子育てを行うための人工の塔(巣塔)も設置されています。

しらやまを訪れた際には、ぜひお立ち寄りください。

コウノトリの飛来や繁殖の歩みについて、より詳しい年表は越前市公式ホームページでも紹介されています。

当時の出来事を時系列で知りたい方は、あわせてご覧ください。

▶ 越前市のコウノトリ年表を見る(越前市ホームページ

コウノトリが舞う豊かな里山・しらやまで、親子の自然体験を

長い時間をかけて、コウノトリと人が関係を紡いできたしらやま。

この里山には、田畑や森の中で、子どもたちが五感を使って自然と出会える時間があります。

コウノトリが舞う豊かな里山・しらやまで、少し特別な自然体験をしてみませんか。